最近の医療界では「電子カルテ」や「画像電子保管」等のコンピュータを使用したテクニックが脚光を浴びています。私が放射線科医出身ということもあり なるべくならフィルムレスの環境を構築したいというのは念願でした。

フィルムというのは まず合成樹脂で出来ており火事になったら燃料になってしまう、重たい 保管が大変である、現像機にかかる費用や現像液廃棄にも無駄な費用が出る、環境破壊に結びつく、感光物質の銀が有限資源であるなどの欠点を持っています。利点としては太陽や蛍光灯で透かしてみれば それだけで見えるというものがありますが それ以外では余り利点というものは有りません。逆に電子保管画像はパソコンが無いと見られないという大欠点が有ります。

別な観点ではCT等を撮影した場合、患者さんにはフィルム代を請求するわけですが そのフィルムは撮影した病院が保管しなければならないのです。どこの世界に自分が代金を支払ったものを貰えないという話が有るでしょうか?しかし現在の法律では それが適法なのです。一般社会なら金を払ったものが渡されなかったら詐欺ですよね。じゃあ、というわけで二分フィルムを作れば その分は個人負担で実費を患者さんから頂戴するわけです。おかしいと感じませんか?

患者さんの説明に関しても 例えば数年にわたる変化を説明する場合 それだけのフィルムをかけられるシャウカステンは有りません。パソコンの画面ならでは可能な行為です。その場で異常部位を拡大し普通の胸部単純写真とCT画像を比較するのも簡単です。

電子カルテは今のところ軽く動き 値段がソコソコというものが無い以上 画像だけでも電子保管を行うつもりで 出来る限り安価に しかも便利にという前提で数年にわたり案を練っておりました。

で、まず院内のCTとECHO 心電図を何とか電子保管画像としてすぐに取り出せる様にするつもりで具体的な作業に入ったわけです。

当院のCTはGE横河のEμという機械ですが これにまず画像取り込み件転送(LAN 環境)ボードを組み込むことにしました。これにより撮影した画像は即刻 診察室机上のG4/500MHz Dual CPUに勝手に送り込まれてきます。

受け取る側はPOP NET Pro Ver2.6というソフトで自動取り込みに対応したものを選んでいます。ただ このソフトウェアが素晴らしいとは断言できない点も多々有ります。一例を挙げればWindows用のもののほうが機能が高い、アプリケーションメモリサイズは大食いで 相当の物理的メモリ容量がないとハングする等があげられます。

それから医用画像というのは それがCT Echo ECGであれ肉眼写真であれDICOM 3という規格が殆どを占めます。これは「可逆圧縮のTIFFデータに文字データを組み込んだもの」と解釈して そう間違いは有りません。DICOM 1の時代に私はこの規格を見て「何だよ JPEGでいいじゃん」とか「何だこの350MBのMOじゃなきゃ駄目ってのは?」とバカにしまくった記憶が有りましたがDICOM 3になり大分改善されています。

※DICOM 3に関しては私なんぞより遥かに詳しい先生方が散々書かれているので ここでは割愛いたします。

電子保管画像はデータそのものがデジタルで有るほうが便利ですから手始めに当院ではCT画像を電子保管に切り替える事にしました。これでフィルムの呪縛から逃れられるかというと 依頼されたものや紹介予定の検査についてはフィルムを作る羽目になりますが 相手先がDICOM 3ビュワーを持っておられればデジタル生データで御渡ししフィルム代を無しで済ませる事も可能ですしADSL等の大容量のデータ転送が可能な相手先なら そのまま電話線経由で送出することも可能です。勿論患者さん本人が「欲しい」と言われればZIPメディア等で御渡しする事にしています(この場合ビュワーはフリーウェアで添付しています)。

では何が必要だったかという点について記載していきます。

1)GE横河のCT(Eμ)

これはLANボード+αの機能の有るボードを操作卓の空きスロットに差し込み IPアドレスを割り振る作業がメインでした。本来当院の足回りは100baseで固まっているのですがボードは10baseのためスイッチングハブが必須になってしまい再考を御願いしたい部分です。病院内では最近流行の無線LANは使えませんからカテゴリー5のケーブルを取り回す必要が有ります。一見簡単なのですが実は時間が掛かりました。自作パソコンを作った経験の有る方でしたら覚えの有る「スロットを嫌う」現象が起きてしまったのです。何遍やっても どこも間違えてないのに応答無しが続きましたが何のことはない 足元向かって左側の空きスロットにボードを差し替えたら嘘のように成功。Eμは基本的にUnixですからIPアドレスを振る必要が有りMacは空いてるアドレスに転送します。Mac同士なら何の設定も要りませんがUnixとですと空いてるIPアドレス(Appleシステムプロフィールで見る事が出来ます)にCTのボードのアドレスを割り振る作業が必要です。(数秒ですが)

2)診察室のG4/500MHz Dual CPU

これを持ち込んでいる理由は「A TypeDVD RAM」(両面使用可能で9.4GBという大容量)が使えるからに他なりません。勿論速度も大事ですが 何より画像保管と読み出し速度のバランスです。別にCDRでも構いませんしZIPメディアでも大丈夫です。画像容量ですがDICOM 3非圧縮状態で一名約20MB程度(胸部造影で40MB近い)電子カルテの様に非圧縮で使う場合は素のままで使うしかありませんが単に保管の場合はStuffIt Deluxe 等で圧縮すると1/4程度まで圧縮可能です。POP NET Pro Ver2.6を使用していますがフリーウェアでもDICOM 3を読影(実用として)出来るものは幾つか存在しています。他院よりの依頼検査の場合要望があればZIPメディア等にDICOM 3ビュワーも入れて御渡し出来ます。転勤族の患者さんで どこに転勤するか判らないという場合 医者なら余程の場合を除いてパソコン位使えます。使えない場合 医師を選ぶのは患者さんの権利ですので...............(^^ゞ

3)ディスプレイ

最初はApple Computer製17インチ液晶ディスプレイを使っていたのですが アーチャンレセプトの画面と重なり使いにくいため今はApple Cinema Displayを どーんと机上において使っています。老眼の患者さんには大きく見える こっちの画像が便利なようです。ただ置く場所の関係でシャウカステンが邪魔になったのは御愛嬌です。

どうもデジタル画像は液晶ディスプレイと相性が良いようです。結構画質にはうるさいんですが 相当な拡大を行ってもドット落ちや細部の飛び、あるいは強調画像のときの人工的なartifact はブラウン管より少なく感じます。読影時もシネ表示で連続送りを行うと見損ないが明らかに減ってきます。

4)10/100base LAN Cableの引き回し

俗に言う「カテゴリー5」のケーブルですが 当院の場合ADSLや院内LAN 環境やらで机上がご覧の有り様になってしまいました(^^ゞそのうちADSLモデムとハブと一緒になったルータを仕込んで もう少し美観を損ねないようにします。なんせアーチャンレセプトとインターネットとCT画像が同居してます............

よく市販されているコネクタ付きのケーブルで どうしても壁から出すときに見苦しくなると思われている方も多いと思いますが今はコネクタを付けたまま壁から出せるカバーが数種類市販されておりホームセンターで入手できます。1000円ちょっとです。

5)DICOM 3画像ビュワー

当院ではPOP NET Pro Ver2.6という読影支援ワークステーションソフトを使っています。このソフトは極めて珍しい「ドングル」しかもUSBドングルをUSBスロットに差さないと動作しません。大昔からのMacユーザーならAdobe PageMaker とか4th Dimensionの昔のものに使われていたのを御記憶かと思います。DICOM 3画像は普通のAdobe PhotoshopでもTIFFファイルとして開けますが文字データが全く見えません。専用のビュワーを使わないと見えませんが そこはインターネット世界は広い。ちゃんとFreeWareでビュワーが存在しており 能力も専用ソフト並に高機能です。実際比較してみても遜色ない印象です。ダウンロード可能なものをリンクしておきます。無料のフリーウェアではオシリスを推薦しておきます(Windows用やUnix Linux用も有ります)

ダイコム無料ビュワー「オシリス」しょっちゅうHTTPが落ちるのでMacintosh用のFTPサーバー直リンクです。使い勝手はPOP NET Pro Ver2.6に似ていますがシネ表示で画面に変な横じまが出ます(作者報告済み)

医用画像処理ソフトウェア開発キットDICOMGEAR

DICOMについて(ここのリンクが最も新鮮でした<m(__)m>)

Vox-Base DICOM Plug-in for NetScapeNavigator(Free Download)

Yumemido(jBox View DICOM Viewer for Macintosh Computer)Free Were 但しこのアドレスからダウンロードするわけではなく ここから連絡するとダウンロード先をメールで教えて呉れます。

Escape Medical Viewer(QuickTime で動作するビュワー)試用判有り
同じアドレスに DICOM Import Developer ToolkitとQMEDICAL FOR 4th DIMENSION
DICOM Import 1.3が有ります。(QMedical は 4D のためのDICOM画像を表示できるプラグインである。4D, Inc.'s 4th Dimension/4DServer RDBMS/RAD/WEB は MacOS and Windowsの開発環境です。 QMedical にはDICOM viewerが バンドルされています。)もっともMacintoshらしい操作感ですが一ヶ月で動かなくなりますよ。アプリケーションメモリサイズも食わず好きなソフトウェアです。

SONYでも作ってるんですね、但しマシンはHPX2000ですが698000円ですと........

一番良く出来てる印象はオシリスですがアプリケーションメモリサイズを大食いします。

※さて次なる目標は「ECG」と「ECHO」ですね。どうやらエコーは そう苦労せずとも行けそうですし ECGも出力がDICOM 3だそうで こりゃあ楽しみです。私は情報公開賛成派ですので。(^.^)